無電解ニッケルめっきの応力とクラック制御

無電解ニッケルめっきの応力とクラック制御

無電解ニッケルめっきの応力とクラック制御(硬度や耐久性に影響)

無電解ニッケルめっきは、電気を用いずに金属皮膜を均一に析出できる処理法で、
優れた寸法精度・耐食性・硬度などの特性を持ち、多くの産業用途で活用されています。
その一方で、めっき皮膜には「内部応力(Residual Stress)」が存在し、
条件によってはクラック(微細な割れ)や剥離などの不具合の原因となることがあります。
本記事では、無電解ニッケルめっきにおける応力の発生要因、クラックの特徴、
および応力制御による品質向上の考え方について解説します。


無電解ニッケルめっきにおける「応力」とは

めっき皮膜における「応力」とは、
析出された皮膜が内在的に持つ引張または圧縮の力のことです。
この応力は、以下のような要因によって発生します。


応力が引き起こす現象とクラックの特徴

内部応力が高すぎる場合、以下のような現象が生じる可能性があります。


クラックは特に「高硬度処理を施した場合」や
「厚膜めっき」などで顕著になりやすく、
目的に応じた応力制御が重要です。

応力の種類とリン含有量との関係

応力とクラックの制御方法

めっき処理の安定化と品質向上のためには、
応力を適切にコントロールすることが重要です。
主な制御手法には以下があります。


遠州クロムにおける応力制御の取り組み

遠州クロムでは、中リンタイプの無電解ニッケルめっきを採用し、
応力が蓄積しにくい処方と運用体制を構築しております。
また、お客様の要求性能(硬度・耐食性)に応じて、
必要に応じた熱処理や浴調整を行い、
密着性・信頼性に優れためっき皮膜をご提供いたします。

「硬度を高めたいがクラックは避けたい」「長期信頼性の高い皮膜が必要」
といったご要望がありましたら、
最適な処理条件をご提案いたしますので、ぜひご相談ください。