表面粗さとめっきの密着性・機能性の関係

表面粗さとめっきの密着性・機能性の関係

表面粗さとめっきの密着性・機能性の関係

めっき処理において、表面の清浄度や前処理の適正さは密着性に大きな影響を与えることが知られていますが、
それと並んで重要なのが「表面粗さ」です。表面粗さは、めっき被膜の密着性だけでなく、
耐摩耗性や潤滑性、外観性など、機能性にも深く関わる要素です。
本稿では、表面粗さがめっき処理に与える影響とその制御方法について解説します。


表面粗さとは

表面粗さ(Ra値など)は、加工された金属表面の微細な凹凸の度合いを数値化したものです。
この値は通常、
μm(マイクロメートル)単位で表され、
数値が小さいほど滑らかであることを示します。
一般的に、機械加工や研磨工程によって調整され、
めっき前の表面性状を決定づける重要な因子となります。


表面粗さとめっきの密着性の関係

表面が適度に粗いと、機械的なアンカー効果(凹凸にめっきが食い込む現象)
が得られ、密着性の向上につながります。
しかし粗すぎると、脱脂不良やピット(穴)などの欠陥の原因となり、
逆に密着不良を招く場合もあります。
したがって、素材や目的に応じて適切なRa値を設定することが重要です。


【一般的なRa値の目安(密着性重視の場合)】


表面粗さと機能性の関係

表面粗さは、密着性以外にもさまざまな機能性に関係します。
例えば、耐摩耗性や潤滑性は、表面の微細構造により摩擦状態が変化するため、
粗さの調整によってトライボロジー性能
(相対運動しながら互いに影響を及ぼし合う2つの表面の間で起こる現象を対象とする科学と技術のこと

が最適化されます。
逆に外観性を重視する装飾めっきでは、下地が滑らかであることが求められます。


【粗さと機能性の関係例】


遠州クロムにおける表面制御の取り組み

遠州クロムでは、被めっき材の材質や用途に応じて、
最適な表面粗さと前処理工程を設計し、密着性や機能性に優れためっきをご提供しています。
事前の研磨・バフ処理から、ストライク処理やジンケート処理の組合せまで、
最終製品の用途を見据えた表面設計を行っております。

表面状態に起因する密着不良、外観不良、摩耗不具合などでお困りの際は、
ぜひ一度ご相談ください。