硬質クロムめっきの浴性による違い

硬質クロムめっきの浴性による違い

硬質クロムめっき処理を行うめっき浴液にも種類があります。

その浴の違いによっても性能の優劣があり、
一口に硬質クロムめっきと言っても求められる機能付与の内容によって選定する必要があります。

硬質クロムめっき浴には主に3種類の浴があり、
古くから現在まで一般的に使用されているサージェント浴、
フッ化浴とも呼ばれる混合触媒浴、
そして近代開発された高効率で高機能なHEEF浴(マイクロクラック浴)があります。

特性の違いは下記のとおりです。



サージェント浴、混合触媒浴でなければならない特別な理由がない限り、
比較表の示すとおりHEEF浴に軍配が上がりますので大半の硬質クロムめっき処理をHEEF浴で行いたいところですが、
最初に記載したとおりサージェント浴が今も一般的に使用されています。

とある論文によると今でも工業用として一般的に使用されているサージェント浴が実用化されたのは1920年代、
そこから更に30年後の1950年代に混合触媒浴が実用化されたが、
その後、二重めっきやクラックフリーめっきなどの開発はあったものの、
40年近く革命的な浴は開発されず、
1990年頃にHEEF浴が開発され近代で徐々に実用化されてきました。

めっき企業はその他の製造業と比較し、
中小企業が大半を占め、弊社含め町工場規模での工場が多い為、
HEEF浴の実用化から30年近く経った現在でも、
大幅な工程変更等が必要となるHEEF浴への変更・導入は未だ見送られている現状が背景にあります。
※弊社は10年ほど前に導入しました。

「硬質クロムめっき 硬度」とインターネットで検索し調べてみると900HV前後で表記されていることが多いですが、
浴によっての違いがありますので硬質クロムめっきと一口では言えず、
各社それぞれの硬質クロムめっき特性を踏まえて検討する必要があります。