無電解ニッケルめっき膜厚の均一性

無電解ニッケルめっき膜厚の均一性

無電解ニッケルめっきが使用される大きな理由の1つにめっき被膜(膜厚)の均一性があります。

その形状により電流密度が高くなる箇所(角・エッジ部)にめっき被膜が生成されやすい電気めっきと異なり、
めっき液と被めっき物(素材)の還元反応を利用し、
被めっき物の表面にニッケル被膜を生成させるため無電解ニッケルめっきはめっき液と接触(浸漬)する箇所に均一にめっき被膜が生成されます。

原理としてめっき液に被めっき物を浸漬した時、
めっき液内の還元剤である次亜リン酸塩が酸化され亜リン酸塩となり、
その時に電子を放出することにより、
めっき液内のニッケルイオンを還元し被めっき物の表面にニッケル被膜として析出します。

これは被めっき物である製品が触媒となり、
還元剤を酸化させることにより上記の反応が発生し、
析出したニッケル(めっき被膜)が触媒となりニッケルイオンを還元し続けることで膜厚が増量していく仕組みです。

ゆえに自己触媒型還元めっきと言われます。

当社では量産部品である場合、
指定膜厚±1μmでの加工を行っており、
精密部品などのめっき加工に優れています。

しかし比較的簡易なマスキングにより電流密度を調整し、
めっきを着けたくない箇所を選定できる電気めっきと違い、
上記の原理のとおり製品とめっき液が接触した段階でめっき被膜が生成される無電解ニッケルめっきでのマスキングは容易ではありません。

全箇所均一に着けたい場合などは非常に有効ですが、
めっき付着不可範囲などがある場合は工数と高価な治具を使用し液体が浸漬できないほどのマスキングを施すか、
その製品のめっき付着不可箇所がめっきが付着しても機能的に問題がないのであれば付着可と変更する、
またはめっき前に該当箇所の研磨を行う場合は工順を変更し後にめっきを研磨時に削り取る、
工順は変えられず完成寸法精度の問題でめっき付着不可であるのならばめっき被膜分の寸法を予め研磨しておくなどの対応が必要です。